英国・エディンバラ生活の豆知識

英国スコットランドのエディンバラにて、気づきやお役立ち情報など。

支払った関税の払い戻しに成功!

最初の記事からあまりにも現実的過ぎますが…いくらネットで探しても役に立つ情報が見つからず、とても苦戦したので、これはどこかに記しておかなければと思ったことから始めます!

イギリスは個人で海外から物を送った場合にも関税が高いことで有名なようですが、渡航直前に慌てて冬服を送った私はそんなことには全く頭が回らず、私物の服がほとんどなのに内容品の価値をかなり高く見積もって記載してしまいました…。

結果として、待ちに待った船便(※いずれ別途書ければと思っています。)の荷物が到着したと思ったら、200ポンド以上の関税(customs duties and import VAT)の請求書、それも支払わなければ荷物は配達しないという脅迫めいた手紙が届きました。

仕方がないので一度支払い、その後各方面に電話をかけまくったりイギリス人の友人に助けてもらったりしながら何とか返金に漕ぎ着けたので、今回はその経緯について書きたいと思います。

ただし、結論としては、古着や中古品の価値は購入当初より限りなく下がっているはずなので、高く記載しないようにするのが一番です!(別件で、額面の小さい同程度のサイズの荷物について関税がかからなかったこともありました。)

 

 

1. 個人使用の場合も輸入品にはcustoms dutyとimport VATがかかる。

日本の郵便局から船便で主に冬服が入った段ボール箱を2箱(合計18kg)送ったところ、英国ではParcelforceが配達を担当するようで、Parcelforceから関税+手数料(各12ポンド)の請求書が届きました。関税の内訳はcustoms dutyとimport VATで、調べると個人使用の物品についても(新品か中古品かを問わず)原則としてかかることになっています。

ご参考→Notice 143: a guide for international post users - GOV.UK (www.gov.uk)

39ポンド以下の贈答品は免税という規定はあるものの、全て「輸入」の話がされていて、どうしても腑に落ちない。。私が自分の服でトランクに入らなかった物を送って自分で受け取るのに、なぜ関税!?!?という気持ちで政府HPを漁っていたところ…

2. 留学等で移住する際の身の回りの品は免税対象!

見つけました!そもそも関税云々の話に進む前のカテゴリーとして、transfer of residenceという項目があったんです!

ご参考→Transfer of residence to UK - GOV.UK (www.gov.uk)

これによると、12ヶ月以上フルタイムの学生として通学するために英国に移住する場合、身の回りの品が免税対象となります。対象品は次のとおり。

  • clothing, including underwear
  • objects and instruments normally used by students for their studies - including personal computers, calculators and typewriters
  • household effects, including personal effects, household linen, furnishings and equipment

(そりゃそうだよね!と思った反面、この制度の原則はあらかじめ持ち込む品を申請すること…こんなのどうやって渡航前に把握しろと言うのでしょう。。)

留学の場合は、一般に必要とされるTOR1というフォームを提出する必要はなく、agentに「400 C06」というコードで申告するよう伝えればよいとされています。

You should tell your agent to declare the goods to Customs Procedure Code (CPC) 40 00 C06. 

それはつまり、郵便局で相談すればよかったのでしょうか?ここについてはやっていないので分かりません。

問題は、既に支払ってしまった場合はどうすればいいかということ。

3. HMRCにC285フォームを提出するよう書いてあるけど…?

先ほどのページを下の方まで読んでいくと、ありました!

If you make a late claim for marriage or student relief, you can apply for the relief using C285 and sending in evidence of your study or marriage.

つまり、C285というフォームに学生であることの証明を付して申請すれば払い戻しが受けられるということ。

ところが、このフォームを記入しようとして色々と壁に突き当たりました。

ご参考→How to apply for a repayment of import duty and VAT if you've overpaid (C285) - GOV.UK (www.gov.uk)

まずは、荷物がCHIEFというシステムかCustoms Declaration Service (CDS)というシステムのどちらで申告されたか。全くもって門外漢なので、一通り調べただけでは日本から送付したものはCDSではないかという程度しか分からず、荷物に貼られていたシールに「CDS」という文字を見つけたのでそれを信じることにしました(笑)(結果として、私の荷物は確かにCDSを通じて申告されていたようでした。)

次の課題はEORIという番号。これは申告者が保有しているはずの番号なので、今回はParcelforce。ということでParcelforceに電話し、HMRCにも電話し、と何往復かしましたが、結局分からず、HMRCから「GBPR」(個人使用であって貿易ではないという意味らしい)と記入するようアドバイスされました。後から考えれば、後述するとおりRoyal MailとParcelforceは他の民間輸送会社とは別扱いのようなので、EORIは保持していなかったのかもしれません。

私はいったんここまでで納得して書類を提出したのですが、後日「Entry number」の記載がないので処理できないという手紙付きで返送されてしまいました。。この時の絶望感といったら…。

それからさらにHMRCとParcelforceの間を往復して判明したのは、Entry numberとはC285フォーム上でMRN (Movement Reference Number)という欄に記載すべきものだということ。HMRCは全ての輸入品にはEntry numberが付されていると主張し、Parcelforceはこの荷物にそんな番号はないとの一点張り。電話・メール・オンラインフォーム・チャット全て駆使して聞いて回りましたが、さすがに疲れ果て、半ば諦めながらParcelforceからさんざん案内された別の申請手段を取ってみることにしました。

4. Border ForceにBOR286を提出して成功!

BOR286というフォームは、実は一番初めに払い戻しを請求しようと書きかけたものでした。関税の請求書や荷物に貼られたシールにも、払い戻しにはこのフォームを使うよう記載されています。その後、transfer of residenceの免税制度を発見したためそちらの手順を踏むことにしたのですが、HMRCへの請求では埒が明かない以上やってみるしかない!ということで、初心に戻ってBorder Forceに書類を提出することにしました。

改めて読んでみると、このフォームはRoyal Mail又はParcelforceを通じて輸入したものが対象。そして、留学生の場合は学生であることの証明等を添付するようにとも書いてあります!

ご参考→Report incorrect Customs Duty or VAT on items imported by post (BOR286) - GOV.UK (www.gov.uk)

for overseas students – confirmation from the University or College of course details and permanent address outside the UK

それまでの大変な努力が徒労に終わったような悲しさはありましたが、なんだか上手くいきそうな気がしてきました!

日本の住所が英語で書かれている書類はなかなかありませんが、私は国際運転免許証のコピーを提出しました。注意点は、申告書等は原本を添付する必要があるようだということです。(コピーを送ったことはないので確かなことは分かりませんが、やりとりの過程でParcelforceから注意喚起されました。)

記載事項は(C285と比べて)とても少なくて済むので(VAT registration numberは不要)、学生として免除されるはずという旨理由の欄に書き、念のため全ての書類をスキャンした上で郵送!(完全なトラッキングを付けると高いので、second classのsignありで送りました。)

なんと、2週間後にBorder Forceから何ともあっさりした手紙が届き、返金してくれるとのこと!!クリスマスと年末年始を挟みましたが、それから2週間強で口座に振り込まれました。手数料(私の場合は2箱で24ポンド)は返金対象外ですが、200ポンド返ってきたのは素直に嬉しかったです!頑張った甲斐がありました。

結論:関税はそもそもかけられないのが一番。

このとおり、相当な時間と労力をかけて払い戻しを受けるために奔走したわけですが、私の時間と返金額との釣り合いが取れたかは不明です(笑) 英語で電話をかける度胸が身についたことと、イギリスの問い合わせ担当者の話を日本でと同じレベルで信用してはいけない(※嘘をつかれたという意味ではなく、質問に答える時の姿勢が全く違うということで、いずれ詳しく書いてみたいと思います。)という学びが一番の収穫だったと思うことにしています。

ですので、関税はかけられないに越したことはありません。払い戻しに成功しても手数料は返金されませんし。

関税を免れる方法として、一つは2.で触れた「400 C06」というコードを申告書に記載するなり郵便局で聞いてみるなりすることができると思います。ただ、やったことはないのでむしろ経験談をお聞きしたいです。

もう一つネットでもよく目にするのは、高額になりすぎないように申告するという方法です。虚偽申告をするのは気持ちがよくありませんが、今回のように私物(中古品)を送る場合、その時点での物品の価値を自分で判断して記載することになります。私はここで大きく誤って購入時の金額に近い額を記載してしまったのでこんなことになったのですが、数年使った服であれば1/5〜1/3程度の価値かそれ以下と言えると思いますので、そこに注意しさえすれば大方問題ないと思います。ただし、航空便の場合は保険がかけられますので、申告額がそのまま保険でカバーされる価値になるということにもご留意ください。

その上で、関税の請求書が来てしまった場合は、大人しく支払ってから払い戻しを請求しましょう。BOR286にはあまり落とし穴はないので、transfer of residenceで免税となる場合はその旨記載して提出すれば大丈夫なはずです。

初投稿が長文かつテクニカルなものになってしまいましたが、私自身ここに来てから一番苦労したことの一つなので、どなたかのお役に立てれば幸いです!